第3部 EUの政策と機能 (Article III-1 - Article III-342) |
第3部には、主として、従来のEC条約規定やEU条約規定が盛り込まれるが、初めて定められた点について解説する。
スポーツ
現行EC条約は、「教育、職業訓練および青少年」に関する規定を置いているが (Part Three, Title XI, Kapitel 3 Education, vocational training
and youth (Article 149-150))、欧州憲法条約は、これに「スポーツ」を加え、その社会・教育的意義を強調している (Article
III-282)。そして、スポーツマンシップの向上やスポーツ団体間の協力を奨励し、また、特に若い選手の身体・精神的健康を保護することを通し、スポーツのヨーロッパ的側面を発展させることをEUの目標として掲げている
(Article III-282, 1 g)。
教育や青少年問題に関する基本的な管轄権は、従来通り、加盟国が有しており、EUは国内政策を調整しうるに過ぎないが、前掲の規定が盛り込まれたことで、EUは、さらに、スポーツに関しても、欧州規模での発展に努めることが可能になる。もっとも、その他の教育・青少年問題に同じく、国内政策の独自性やスポーツ団体の独立性を尊重しなければならない。
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