@ ヨーロッパの共通の価値の再認識
3月25日のローマ条約(EEC条約とEuratom条約)の締結50周年を記念し(参照)、加盟国は共通の価値観を再確認しなければならない。これによって、異文化や異宗教との誠実な対話も可能になる。なお、かねてより、Merkel 首相は、変革の時代における基本的価値観の確立を訴えている(参照)。
New |
2006年10月11日、Merkel 首相は、ローマ条約締結記念日にあたる3月25日、ベルリンにて記念式典を開催する意向を示した。これは、冷戦を乗り越え、再び一つに統合されたヨーロッパを祝する行事となる予定であるが、開催地でドイツの首都ベルリンは、「冷戦終結後のヨーロッパ」の象徴であるとされる。式典では「ベルリン宣言」(EU加盟国〔理事会〕、欧州委員会、欧州議会の共同宣言)の発表も検討されている(参照)。
|
|
A EU拡大の(地理的)限界を明確にすること
すでにクロアチアやトルコともEU加盟交渉が開始されているが、さらなるEU拡大は近いうちに実現しないこと、また、トルコに対しては、EU加盟を約束するものではないことを明確にしなければならない。
ドイツの Merkel 首相 は、首相就任前より、トルコのEU加盟に消極的な態度を見せているが(詳しくは こちら)、就任後は、所属政党党首としての立場と、ドイツ首相としての立場を使い分けている(後者はトルコの加盟に中立もしくは賛成)。2006年10月5日には、ドイツ・トルコ経済フォーラムに出席するため、イスタンブールを訪問している。翌6日の首脳会談では、主催国のEU加盟が公約されているものではないと述べる一方、異宗教間の対話促進の必要性も強調している。
B 国際競争力の強化
中国やインドを初めとする諸国の経済発展に対抗し、豊かさを維持するため、EUは団結し、またビュロクラティーの撤廃、技術革新に取り組む必要がある。
(参照) リスボン戦略
C (社会的)経済秩序確立への貢献
知的所有権の保護や公正な国際貿易秩序を世界規模で確立するため、EU加盟国は一致団結して取り組まなければならない。
D 欧州憲法条約の発効
EUと加盟国の役割分担を明確にし、EUの巨大化に対する市民の不安を取り除くため、憲法条約が必要となる。なお、2004年10月、ローマで締結された憲法条約がこのような機能を果たすかどうかは疑わしい。膨大な憲法条約のどの側面を重視するかによって見解は異なり、賛否両論主張されているが、Merkel
首相はかねてより、憲法条約の重要性を強調している(参照)。
(参照) 各国の批准状況
|