最重要政策課題 − リスボン政策の中間評価
2005年元旦、ルクセンブルクは、オランダ より EU理事会議長国 のたすきを引き継ぐ。EU加盟25ヶ国のうち、2番目に小さい立憲君主国がEUの議事運営を司る半年間の最重要政策課題は、リスボン戦略 の中間評価である。この案件は、3月22・23日の 欧州理事会 で審議される予定であるが、Kok 報告書 を参考にしながら、今後の計画も立てられることになっている。
その他の重要な政策課題は以下の通りである(参照)。
EU拡大
2004年12月17日、欧州理事会がトルコとのEU加盟交渉の開始を決定したことを受け(詳しくは こちら)、交渉手続や条件の詳細について話し合いが行われる。なお、2005年3月17日には、クロアチアとの加盟交渉が開始される予定である(参照)。
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加盟交渉開始の要件である国際刑事裁判所への協力が不十分であると判断されたため、交渉の開始は見送られた。
詳しくは こちら |
EU財政
6月までに、加盟国は、次期(2007年〜2013年)EU財政の枠組みについて政治的合意を取りまとめる予定である。リスボン政策 の中間評価(および今後の計画の策定)が最重要政策課題であることは前述したが、最も困難な議題は、次期予算枠の決定である。ここでは、加盟国の利害関係の対立が顕著に現れているが、争点は、農業政策 に次いで、最も多くの資金があてがわれている 地域政策 の見直しに置かれている。 2004年5月、新たにEUに加盟した10ヶ国(参照)は、EUの経済援助に大きな期待を寄せているが、従来より地域政策の恩恵にあずかってきたスペインやギリシャは、資金の分配に強く抵抗している(参照)。
予算配分と共に、予算規模も争点になっているが、EUから受け取るよりも、より多くの資金を拠出している純財政負担国(ドイツ、オーストリアなどの6ヶ国)は、EU予算規模の拡大に反対しているのに対し、欧州委員会は、諸政策を実現するためには、拡大が不可欠であるとし、現在の全加盟国
GNI(国民総所得)の約1%から1.14%に引き上げることを提案している (詳しくは こちら: EU財政について こちら)。ルクセンブルクや、その後に理事会議長国となるイギリス もこの6ヶ国に属するが、イギリスはEU予算枠の拡大に
特に批判的であるため(参照)、2005年上半期に合意が成立しなければ、交渉はますます困難になると解される(参照)。
なお、現在、8ヶ国の財政不均衡が問題になっているが、安定・成長協定 の徹底した遵守や見直しも争点になるものと解される(詳しくは こちら)。ルクセンブルクの Juncker 首相は、蔵相を兼任しているが、初代 Mr. Euro (ユーロ導入国蔵相の常任議長)にも任命されており、財政均衡問題について協議する際にも、重要な役割を果たすことになろう。
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6月16・17日の欧州理事会において、次期財政計画の決定は見送られた。
詳しくは こちら@、A
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12月17日深夜、欧州理事会は、次期財政計画を決定した。
詳しくは こちら、背景 |
外交政策
2004年5月1日、 東方拡大 が実現したことを受け、新たにEUの隣接国となった東欧諸国との関係強化が図られるが(欧州近隣政策〔ENP〕)、その焦点は、ウクライナ に置かれている。
また、2005年5月には、いくつかの加盟国の旧植民地ないし海外領土である ACP諸国(アフリカ、カリブ海、太平洋諸国) との会合が予定されており、Cotonou 協定 の存続や HIV/AIDS 対策について協議されることになっている。
ルクセンブルクEU理事会議長国のホームページ (仏語) (英語)
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