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   Court of the European Union
EU裁判所
 リスボン条約体制


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    はじめに

  1. 組織

  2. 任務・管轄権

  3. 重要な訴訟類型

  4. 裁判所規程

  5. 新旧条文対照表
  6. リンク

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EU裁判所 

E U 裁判所

© European Union, 2009



はじめに

 EUが通常の国際機関と一線を画す国家的組織に発展したのは、EU裁判所の判例法によるところが大きい(参照)。もっとも、その功績ゆえに、裁判所自身の職務負担が過重になり、組織の改編も余儀なくされた(参照)。リスボン条約はこの体制を整えているだけではなく、ECが消滅し、EUに承継されたことを踏まえ、名称をEU裁判所に変更している(EU条約第13条第1項)。また、EUの改組(第3の柱を第1の柱に編入すること)に伴い、その管轄権をさらに拡大しているだけではなく(参照)、EU法秩序の維持や個人の権利保護といった裁判所の役割も強化している(参照)。

 なお、EU法の発展に貢献してきた重要な判例法理の一つである「EU法(EC法)の国内法に対する優先性」について、欧州憲法条約は明文の規定を設けていたが(第I-6条)、加盟国の批准が困難になるのを避けるため、リスボン条約には取り入れられなかった(なお、2007年の政府間協議の第17宣言で優先性が謳われている)。


1.組織

 EC条約第220条は、ECの司法機関として、裁判所(Court of Justice)と第1審裁判所(Court of First Instance)を挙げ、後者の下に司法委員会(judicial panels)が置かれると定めていた。

 他方、新EU条約は、EU裁判所(Court of Justice of the European Union)という名称を新たに設け(第13条第1項および第19条第1項参照)、同裁判所は、①裁判所(Court of Justice)、②一般裁判所(General Court/Tribunal/Gericht)および③専門裁判所(specialised courts)からなるとする(第19条第1項第1文)。つまり、EU裁判所とは3つの裁判所の総称である。また、②と③の名称が改められているが、従来通り、③は②に附属する(EUの機能に関する条約第257条第1項前段)。


  従来の名称 新しい名称 
  Court of Justice
  Cour de justice
  Gerichtshof
 変更なし
  Court of First Instance
  Tribunal de première instance
  Gericht erster Istanz

  General Court
  Tribunal
  Gericht
 

  judicial panels
  chambres juridictionnelles
  gerichtliche Kammer

  specialised courts
  tribunaux spécialisés
  Fachgerichte
 



 なお、EU裁判所とは三つの裁判所の総称であり、そのうちの一つを指すわけではない。従来は、①をEC裁判所と呼ぶことが多かったが、その例に倣い、現在、①をEU裁判所と捉えることは適切ではない(EU裁判所とは総称であるため)。なお、正式名称通りに、①を単に「裁判所」(Court of Justice)とすれば、他の裁判所との区別に困ることもある。そのため、従来通り、ECJ (European Court of Justice)という略称を用いることが望ましいと考えられる。以下では、①を ECJ(European Court of Jstice)とする。なお、基本条約は、総称としてのEU裁判所と①を常に明確に区別しているわけではない。また、ドイツ語による ①の Gerichtshof と ② の Gericht は同義の単語であり、区別が困難である。


 ところで、専門裁判所は、EU理事会と欧州議会が通常の立法手続に従い規則を制定し、それに基づき設置される(第257条第1項)。理事会の議決は特定多数決によるが、従来は、理事会が単独の立法者であり、その議決には全会一致を必要とした(EC条約第225a条第1項)。この全会一致の決定に基づき、同裁判所はすでに設置されているが(参照)、複数設けることが可能であり、一つである必要性はない。なお、従来通り、専門裁判所は一般裁判所の下に置かれるが、一般裁判所には設置を理事会と欧州議会に要請する権限が与えられておらず、要請しうるのは、従来通り、ECJと欧州委員会である。一般裁判所は商標権に関する訴えを管轄する専門裁判所の新設を希望しているが、ECJによって支持されていない(ECJは、専門裁判所の新設ではなく、一般裁判所判事の増員を提唱している)。

     (参照) 従来の司法小委員会について


 第1審裁判所の名称から「第1審」が削除されているように、同裁判所が第1審になるとは限らない(従来も同様であった)。つまり、同裁判所は、専門裁判所の控訴審となる(EUの機能に関する条約第256条第2項第1款、他方、第1審として機能する場合について、第1項第1款参照)。また、上掲の3つの裁判所が3審制度を形成するとは限らず、一般的には2審制である(3審制をとる場合について、第2項第2款参照)。

     (参照) 3審制をとる場合


 ECJと一般裁判所の判事や法務官について、EU条約第19条第2項とEUの機能に関する条約第253条第1項ないし第254条第1項~第2項で(部分的に)重複して定めているが、厳密に一致しているわけではない。特に、一般裁判所の判事数について、EU条約第19条第2項第2款は、少なくとも各加盟国より1名とするのに対し、EUの機能に関する条約第254条第1項第1文では、裁判所規程で定めるとしている。同規程は欧州議会とEU理事会が通常の立法手続に従い改正することができるが(第281条第2項)、両機関に改正を要請しうるのは、ECJと欧州委員会のみである。つまり、一般裁判所には自らの人員増を要請する権限が与えられていない。なお、2011年4月7日、ECJは、一般裁判所の負担過重と訴訟係属期間の長期化に対処するため、最大12名の増員を要請している。一般裁判所自身は、専門裁判所の新設を希望していたが、ECJによって支持されなかった。

 他方、専門裁判所の判事については、EUの機能に関する条約第257条でのみ規定されている。それによれば、同裁判所の設置だけではなく、構成についても、欧州議会と理事会が通常の立法手続に従い決定する。

 ECJに配属される法務官は、第252条第1項前段において、8人と特定されているが、ECJの申請に基づき、理事会は全会一致で増員を決定することができる(第252条第1項後段)。この点は従来通りであるが(EC条約第222条第1項)、①ECJは11人への増員を要請し、理事会は全会一致で決定しうること、また、②この場合、(ドイツ、フランス、イタリア、スペインおよびイギリスに並び)ポーランドからも常に1名の法務官が選出されることを明確にする宣言が採択されている(リスボン条約付属第38宣言)。

 各裁判所の判事数、法務官の配属、またこれらの人員の任命手続、任期および必要な資格は従来通りである(参照)。ただし、ECJと一般裁判所の判事や法務官の任命に関しては、新たに設置されるパネルによって、各加盟国が選定した候補者の適性が審査されることになった(第255条第1項)。この組織は、①ECJや一般裁判所の元判事、②国内の最上級裁判所の判事および③高い能力を持つ法曹の中から選ばれた7人で構成され(第2項第1文)、理事会が裁判所長官の提案に基づき採択する決定に従い任命される(第2文~第3文)。なお、メンバーの一人は欧州議会によって提案される(第1文)。


2.任務・管轄

 従来通り、EU裁判所はEU法を維持し、その解釈・適用の統一を図ることを任務とする(EU条約第19条第1項第1款)(参照)。なお、加盟国はEU法の規定範囲において権利保護の実効性を確保しなければならない旨が明記された(第2款)。これは従来のEC裁判所の判例法を反映したものであるが (参照)、この規定からは、EU裁判所による権利保護を強化するだけではなく、代替的な手段である国内裁判所による保護を拡充する必要性が導かれる 。

 リスボン条約はEU(従来のEC)に新たな権限を与えているが、これに伴い裁判所の管轄権も拡大した。また、制度(実体法)の改正に伴い、手続法も改正されている。


・ 刑事法分野

 刑事に関する司法・警察協力(第3の柱) に関し、従来、ECJの管轄権は限定されていたが、リスボン条約に基づき、同政策分野はいわゆる「EC化」され、司法統制が原則として及ぶようになった。つまり、これまで、同政策分野で発せられた決定や枠組み決定に関し、ECJ、加盟国が認める場合にのみ、先行判断を下すことができ、また、加盟国は先行判断を求めうる国内裁判所を最終審に限定することも可能であったが(旧EU条約第35条第2項および第3項)、リスボン条約に基づき、このような制限はいずれも撤廃された。なお、同条約の発効から5年間は従来の規定によるという移行措置が設けられている(EU条約およびEUの機能に関する条約附属第36議定書第10条)。

 他方、新条約は、①加盟国の警察またはその他の刑事訴追当局が講じる措置の有効性または比例性について、また、②公序や国内安全の維持に関する加盟国の権限行使についてEU裁判所は審査しえないことを明確にしている(EUの機能に関する条約第276条)。特に、後者に関する権限はEUに委譲されておらず、加盟国の下に残っていることは第72条でも明記されている。

・ 民事法ないし行政法分野

 ビザ、庇護、移民およびその他の人の移動に関する政策分野(EC条約第3部第4編)においても、これまでECJに先行判断を求めることができるのは国内の最終審に限られていた(EC条約第68条第1項)。また、国境検査の撤廃に関し、公序や国内の安全を維持するために理事会が発する措置や決定(第62条第1号)について、ECJに先行判断を下す権限は与えられていなかったが(第68条第2項)、リスボン条約はこれらの例外を廃止している。


・ 共通外交・安全保障政策の分野

 他方、共通外交・安全保障政策(第2の柱) は、従来通り、司法審査に服さない(EU条約第24条第1項第2款第6文、EUの機能に関する条約第275条第1項)。ただし、① EUの制裁(EUの機能に関する条約第215条) や、② 共通外交・安全保障政策とその他の政策の権限の区分に関し(EU条約新40条参照)、EU裁判所には管轄権が与えられる(EUの機能に関する条約第275条第2項)。なお、①は共通外交・安全保障政策上の措置として発せられるわけではない。EUの制裁(いわゆる smart sanction)に対する権利保護の必要性は近時のECJ判決でも強調されている(詳しくは こちら)。

 さらに、共通外交・安全保障政策の分野で締結される条約とEU法との整合性について、ECJは事前に審査しうると解される(EUの機能に関する条約第218条第11項参照)(EU裁判所の管轄権について、詳しくは こちら)。

・ 加盟国に対する制裁

 ところで、ある加盟国がEUの基本的価値(EU条約第2条参照)に関し、重大な違反を継続しているとき、欧州理事会は、同国の意見を聞いた上で、これを認定することができる(EU条約第7条第2項)。また、この決定を受け、EU理事会は、同加盟国に対して制裁を発動することができる(第3項)。他方、決定の対象となった加盟国は、決定が下されてから1月以内にECJに提訴しうるが、同裁判所の審査は、EU条約第7条が定める手続要件(特に、加盟国に対する審問)が遵守されているかという点に限定される(EUの機能に関する条約第269条)。つまり、ECJは決定内容の当否について判断しえない。これは欧州理事会およびEU理事会の決定には高度に政治的な要素が含まれ、司法審査に適さないためであるが、従来のEU条約第46条第e号に比し、リスボン条約は、①決定の対象となった加盟国のみが提訴しうることを明確にすると共に、②ECJは提訴から1ヶ月以内に判断を下すことを新たに定めている。


3.重要な訴訟類型

 従来の裁判手続は、大幅に変更されることなく承継されているが(EUの機能に関する条約第258条~第277条、第340条)、以下の点で改善がみられる。

     (参照) 従来の訴訟類型について

(1) 加盟国のEU法上の義務不履行確認の訴え(EU法違反確認の訴え)(第258条以下)

 欧州委員会は、ある加盟国がEU法に違反していると考えるとき、同加盟国の意見を聴いた上で、EU裁判所(ECJ)に提訴することができるが(第258条)、裁判所がEU法違反を認定するとき、同加盟国は判決に従い、違法状態を除去しなければならない(第260条第1項、詳しくはこちら )。しかし、加盟国はこの義務に従っていないと欧州委員会が考えるとき、これまで委員会は、所定の期間内に必要な措置を講じるよう、加盟国に勧告し、それでも加盟国が適切な措置を取らない場合には、委員会は課徴金額を決定し、この制裁措置の発動をECJに要請することができた(EC条約第228条第2項)。これに対し、リスボン条約は、所定の期間内の実施を勧告することなく、制裁額を決め、EU裁判所(ECJ)に提訴することを認める(EUの機能に関する条約第260条第2項)。このように手続は迅速化されているが、欧州委員会は、最初の提訴に先立ち、加盟国に意見を聴かなければならない(図はこちら)。

 さらに、加盟国による 指令の置換義務 違反について特例が設けられた(第260条第3項)。これによれば、加盟国が指令の置換について見解を述べる義務を怠っていると欧州委員会が考え、EU裁判所(ECJ)に提訴するとき(第258条)、つまり、最初の提訴の時点で、委員会は制裁額を提示することができる(第260条第3項第1款)。また、EU裁判所(ECJ)が義務違反を確認するときは、制裁を科すことができる(第2款) 。なお、この迅速な手続は、指令の置き換えていないことではなく、置き換えについて報告しないことを要件としているため、すでに置き換え済みであるが、報告が完了していない場合にも適用される。また、置換方法が不適切であっても、報告がなされていれば、迅速な手続によることはできないといった問題もある。
 

(2) 第2次法無効の訴え(ないし取消訴訟)(第263条)

 これまで第2次法の有効性(適法性)を争う訴えは、欧州議会、EU理事会、欧州委員会および欧州中央銀行が発したものに対してのみ提起することができたが(EC条約第230条第1項、詳しくはこちら)、リスボン条約は 欧州理事会 も正式にEUの機関として位置付けており、同理事会が採択する措置も審査の対象に含まれるようになった。なお、これらの第2次法は、いずれも第3者に対し法的効力を持つものでなければならない。

 他方、諸機関が創設した agencies や組織が講じた措置に対しても訴えを提起しうるかどうかについて、EC条約第230条第1項は定めておらず、明確ではなかったが、新条約は、従来のECJの判例法を踏襲し、EUの組織等(bodies, offices or agencies)が発する第2次法で、第3者に対し法的効力を有するものも訴えの対象に加えている(EUの機能に関する条約第263条第1項第2文)。例えば、Europol が個人に対して発する措置がこれに含まれると解される(詳しくは こちら)。なお、そのような組織の設置に際し、自然人や法人の提訴について特則(特に、第4項所定の要件 に対する特則)を設けることができる(第5項)。このような特則は、すでに域内市場調整事務所(Office for Harmonization in the Internal Market〔OHIM〕)の設立にあたり定められているが(参照)、法的根拠には争いがあった

 従来は、会計検査院と欧州中央銀行にも、第2次法の適法性を争いECJに訴える権利が与えられていたが(ただし、自らの権利擁護に関する場合に限る、EC条約第230条第3項)、リスボン条約は、地方委員会(Committee of the Regions)にも同様の権利を与えている(EUの機能に関する条約第263条第3項)。なお、従来通り、会計検査院と地方委員会が発した措置の有効性を争い提訴することは認められないが、欧州中央銀行が発した措置に対する訴えは認められる。


 また、従来、個人が提起する訴えは「直接性の要件」と「個人的要件」を満たす必要があった(EC条約第230条第4項、詳しくはこちら)。これによると、一般人を対象に発せられる法律(EC条約第249条第2項の意味における「規則」)は「個人的要件」を充足しないため、それによる権利侵害が明白な場合であれ、被害者は提訴しえなかった。かねてより、この権利保護制度上の欠陥は多方面で議論されており、欧州憲法条約の起草過程でも審議されることになったが、その背後には、以下のような判例法の展開がある。つまり、2002年に下された判決において、第1審裁判所は、一般人を対象にした第2次法であれ、それによって原告の権利が侵害されていることが明らかな場合には、訴えは許容されるとした。これに対し、ECJは、EC条約第230条第4項の文言を重視し、第1審裁判所による法の創造を否認した上で、国内裁判所による権利保護の重要性を強調した(参照) 。

 この問題にEUレベルでも対処すべく、憲法条約には「規則としての性質」を有する第2次法で、個人に直接的に関わり、その適用には執行措置を必要としない場合、同人はその有効性を争い提訴しうるという条項が盛り込まれることになった(第III-365条第4項)。つまり、「個人的要件」は削除された。リスボン条約は、この規定を承継し、「規則としての性質」を有する第2次法の有効性を争い提訴することを認めているが(EUの機能に関する条約第263条第4項)、「規則」の概念については検討を要する。憲法条約は従来の第2次法の名称を改め、法律としての性質を持たない措置を「規則」(正確には「ヨーロッパ規則」)とした。そのため、立法手続を経て制定された法律は「規則としての性質」を有する第2次法にあたらない。これに対し、リスボン条約は第2次法の名称を改めず、従来の名称を踏襲している。そのため、規則には、①理事会や欧州議会によって制定される法律としての性質を有するものと、②それを実施するため、委員会によって制定されるもの(法律としての性質を有さない)がある。憲法条約第III-365条第4項の内容に合致するように規定するならば、EUの機能に関する条約第263条第4項の新しい要件は「法律としての性質を有さない措置」と定められるべきであったが 、憲法条約をそのまま承継し、「規則としての性質」を有する措置としている。この新しい訴訟要件の解釈については争いがあるが、通説は、憲法条約の趣旨・目的を超え、当事者適格(locus standi)を拡張すべきではないため、リスボン条約体制下でも「法律としての性質を有さない措置」と解釈すべきとする。これに対し、新しい要件は、あくまでも新条約体系の中で捉えるべきであり、個人の権利保護を拡充する上でも、広く解すべきであるという見解も主張されている。なお、英語、フランス語、ドイツ語およびスペイン語による条約文では、「規則」という表現が用いられているが、オランダ語、デンマーク語やスウェーデン語では使用されていない。基本諸条約はすべての公用語で権威があることを考慮すると、「規則」という第2次法に関連付けて新要件の内容を検討することは、必ずしも適切ではないと言えるが、この問題について、EU裁判所はまだ見解を示していない。

 なお、従来通り、「直接性の要件」と「個人的要件」の双方を満たす場合も訴えは適法である。


(3)先行判断手続(第267条)

 リスボン条約は 先行判断手続 の対象を拡大している。つまり、EUの諸機関だけではなく、その他のEUの組織(bodies, offices or agencies)が発する措置の適法性や解釈に関し、EU裁判所に先行判断を求めることができるようになった(EUの機能に関する条約第267条第1項第a号)。

 また、先行判断を求める国内裁判所の手続において
、個人の刑罰が争点になっているとき、EU裁判所は短期間の内に先行判断を下すものとされた(第267条第4項、現行EC裁判所手続規則第104b条参照)。なお、「自由、安全および正義」の政策分野において、“urgent preliminary ruling procedure (PPU)” はすでに2008年3月1日より適用されている。


先行判断手続



(4)補完性原則違反に基づくEU第2次法無効の訴え

 リスボン条約は、EUの諸機関が 補完性の原則 に違反していることを理由にEU裁判所に提訴する権限を加盟国の議会ないしその議院に与えている(EU条約第5条第3項第2款、第12条第b号、EUの機能に関する条約第69条)。この訴えは、EUの機能に関する条約第263条に準じ、加盟国が提起することも、または、国内法に照らし、議会またはその議院の名前で提起される(EU条約およびEUの機能に関する条約附属第2議定書第8条第1項)。

 なお、第2次法の制定に際し、地方委員会(Committee of the Regions)には諮問権限が与えられている場合には、同第2次法による補完性原則違反を理由に同様の訴えを提起する権利が地方委員会に与えられている(前掲議定書第8条第2項)。


4.裁判所規程

 裁判所規程は、従来通り、基本条約に附属する議定書の形式をとるが(第281条第1項、第3議定書)、裁判所の名称がEU裁判所と改められたことに伴い、規程の名称もEU裁判所規程と改められている 。

 EU理事会と欧州議会は、通常の立法手続に従い規程を改正しうるが(第2項)、従来は、理事会が単独で、また、全会一致で改正することができた(EC条約第245条第2項)。なお、判事や法務官について定める第1部(第2条~第8条)は通常の条約改正手続(EU条約第48条)による。



5.リンク


EU裁判所の公式サイト

EUの司法制度

   新旧条文対照表

従来のEC司法制度

ニース条約による改正

EC裁判所によるEC法の発展



EU裁判所の法廷
 
© European Union, 2009

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