賃金水準の非常に低い新規加盟国から労働者が多数流入し、従来の加盟国の雇用情勢を圧迫する危険性が指摘されていたため、2004年5月1日の EU東方拡大 の際には、保護規定が導入された。これに基づき、イギリス、アイルランド、スウェーデンを除く12ヶ国は、労働市場の開放を見送ったが、2006年5月1日、フィンランド、スペイン、ポルトガル、ギリシャは、制限を完全に撤廃した。また、フランス、イタリア、ベルギー、ルクセンブルクは、一部の分野(ホテル業や飲食業など)に限り、労働市場を開放することになった。これらの国では、単純労働者の需要が高まっている。
他方、憲法条約の批准を否決し、EU統合への慎重論が高まっている オランダ は、市場開放を見送り、2007年に再検討することにした。また、多くの中東欧諸国に隣接しているため、自由化の影響を最も強く受けるとみられている
ドイツとオーストリア、また、デンマークは、さらに3年間、国内市場を保護することを決定した。
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